教えてドクター 夏に多い虫刺され・とびひ

夏に多い「虫刺され・とびひ

虫刺されは、虫に血を吸われたり、咬まれたり、刺されたり、接触したりすることで皮膚に炎症を起こす疾患です。虫の毒成分などによるアレルギー反応や刺激反応によって症状が出ます。アレルギー反応は、すぐに起こる即時型とゆっくり起こる遅延型があります。痒くて、掻いてしまうと治りにくくなりますので早めの対処が必要です。数時間で症状が軽減するようであれば心配はいりませんが、なかには全身に症状が及ぶ場合がありますので軽視は禁物です。とくに、蜂などはアナフィラキシーショックを起こす可能性があるので注意しましょう。軽症なら市販の痒み止めの塗り薬で様子をみてもよいのですが、痒みや赤みが強い場合はステロイド外用薬が必要になりますし、症状が強い場合は抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬を用いますので皮膚科を受診してください。虫は汗が大好きです。汗をかいて草むらや公園などに行くと、虫が寄ってきやすくなるので過度な肌の露出は控えましょう。虫除けスプレーやシートを利用するのもいいのですが、汗をかくと虫が寄ってきますのでこまめに汗を拭きましょう。
 虫刺されが原因でとびひになることもあります。とびひは、正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と言い、主に小児期に多くみられる疾患です。細菌による皮膚の感染症で、発症すると多くは水ぶくれ(水疱)になり、その水ぶくれが破れてつゆがでてきます。このつゆが付いた手で他をさわることにより瞬く間に広がります。その様子が、火事の火の粉があっという間に飛び火するのに似てることから「とびひ」と呼ばれるようになりました。
 原因は虫刺されの部位やあせもを掻き、皮膚にできた小さな傷に細菌が感染を起こすことで発症します。とびひの原因となる主な細菌は黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌。黄色ブドウ球菌は、健康な人の皮膚の表面などにいる常在菌なのですが、傷口から皮膚に入り込み増殖するときに毒素を出すことで、とびひの原因となります。化膿レンサ球菌も健康な人の鼻の中やのどにいる常在菌で、傷口などから入り込むことで発症します。
 とびひには、水ぶくれができる水疱性膿痂疹と、かさぶたができる痂皮性膿痂疹の2種類があります。水疱性膿痂疹は、主に黄色ブドウ球菌が原因となります。皮膚にできた水ぶくれが膿を持ち、それが破れただれてつゆが出てしまい、周囲へ広がっていきます。とびひの多くがこれです。痂皮性膿痂疹は、化膿レンサ球菌が原因となって引き起こされ、季節に関係なく小児から成人まで幅広い年代に見られます。膿をもった水ぶくれができ、厚いかさぶたになります。炎症が強く、発熱やリンパ節が腫れ、のどの痛みを伴うことがあり、悪化すると高熱が出ることもあります。治療は原因となる細菌に効く抗生剤の飲み薬や塗り薬です。痒みが強いときは、痒み止めを処方します。原因菌を減らすために日頃から皮膚を清潔にしましょう。タオルなどを介してとびひが感染することがあるので共有は厳禁です。
フリーペーパーmamacha2021年7月号より

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